
オーダーメイドジュエリー製作で「ロストワックス技法」という言葉を見かけたことがあるでしょうか?
これは、細かい造形や特別なデザインを実現するための伝統的な技法であり、オーダーメイドジュエリーにおいては特に欠かせない手法です。
今回は、ロストワックス技法について、製作のプロセスや道具の種類、さらにオーダーメイドジュエリーをこの方法で制作するメリットに注目して解説していきます。
1. ロストワックス技法とは?オーダーメイドジュエリー製作での位置付け
ジュエリー製作には、一般的に以下の3つの方法があります。
①貴金属を直接加工してジュエリーを制作する
②ワックス(細工ロウ)を使用し、原型を作ってから鋳造する
③デジタルデータを作成し、3Dプリンターで製作する
このうち、ロストワックス技法は、ワックスで原型を作り、
金属に仕上げる②「鋳造法」の一種です。
ロストワックス技法では、まずワックスを使ってジュエリーの原型を製作し、完成したワックス原型を石膏で型取りします。
高温で石膏を焼成することで、石膏に埋め込まれたワックスが蒸発し、金属を流し込むための空洞ができます。
ロスト(失われた)ワックスの空洞に金属を流し込んで成形するため、「ロストワックス」と呼ばれます。
2. ロストワックス技法の特長:オーダーメイドに最適な理由
ロストワックス技法がオーダーメイドジュエリー製作に適している理由を、以下の特長に基づいて説明します。
自由な表現力と高い造形性
ロストワックス技法の大きな魅力は、自由度の高い表現力にあります。
ワックスは彫刻のように削ったり盛り付けたりしやすい素材であり、細かい装飾や複雑なデザインも自在に実現可能です。
金属の直接加工と異なり、ワックスは切削が容易で、細かなデザインも思い通りに形作れます。
オリジナルデザインを忠実に再現したいオーダーメイドに最適です。
複製が可能
ロストワックス技法のもう一つの特長は、原型を基に複製ができる点です。
ワックスで作った原型をゴム型に取り、そこにワックスを流し込むことで、元のデザインを忠実に複製できます。
たとえば、家族で共有したいジュエリーや、
大切な方へのギフト用として同じデザインを量産する際に、
この複製技法が活用されます。
3. ワックス原型製作に使用する材料と道具
ワックスを使ったジュエリー製作には、
ワックスそのものの種類や加工に必要な道具を理解することも重要です。
ワックスの種類
ジュエリー製作用のワックスには、硬さや色で分類されたいくつかの種類があります。
用途やデザインの難易度に合わせて適したものを選ぶことが大切です。

- ferrisブルー:柔らかいハードワックスで、初心者向け。削りやすく、細かい作業にも対応。
- ferrisパープル:中間の硬さで、柔軟性と耐久性のバランスが良い。
- ferrisグリーン:硬めのワックスで、シャープで繊細なデザインに適しています。
形状も「ブロック」「スライス」「チューブ」など様々あり、用途に合わせて使い分けます。
ワックス加工に使う基本的な道具
ワックス原型の製作には、以下の基本的な道具が必要です。
- ヤスリ:ワックスを削り、形を整える道具。
ワックス用のヤスリは目詰まりしにくいように工夫されています。

- スパチュラ:ワックスを盛り付けたり細部を整えたりする際に便利です。

- ノコ:大まかに切断するための道具。

- ワックスペン:ペン先を加熱し、ワックスを溶かして形状を接合したり装飾を施したりします。

上記の道具を使うことで、精巧なワックス原型を作り上げることができます。
4. ロストワックス技法によるオーダーメイドジュエリーのメリット
オーダーメイドでのジュエリー製作において、ロストワックス技法が特におすすめされる理由は、
デザインの柔軟性や完成度の高さだけでなく、手軽に形を確認できる点にもあります。
デザインの調整が容易
ワックスは、彫刻や盛り付けが簡単に行えるため、制作途中でデザインの調整がしやすいです。
最終的な仕上がりイメージを確認しながら作業できるため、修正や細部の調整も柔軟に行えます。
これは、オーダーメイドジュエリーにおいて重要な利点であり、納得のいく仕上がりを実現するための大きなサポートとなります。
5. オーダーメイドジュエリー制作の流れ
- デザイン相談:お客様のイメージや希望を伺い、オリジナルデザインを提案します。
- ワックス原型の確認:ワックス原型が完成した段階で、
お客様と一緒に最終確認を行い、必要に応じて微調整を行います。 - 鋳造と仕上げ:ワックス原型を鋳造し、仕上げを行います。
職人の技術により、デザイン通りのジュエリーが完成します。
オーダーメイドジュエリーは、特別な想いや思い出を形に残すための最適な選択です。
オーダーメイドならではの魅力が詰まったジュエリーを手に入れることができるのは、
このプロセスの細かさと柔軟さがあるからです。
まとめ
ロストワックス技法は、ジュエリーのオーダーメイドにおいて、自由なデザインと高い再現性を両立させる素晴らしい方法です。特に、個性やオリジナリティを求める方にとっては、ワックス原型の作成から仕上げまで一貫したサポートが受けられるオーダーメイドのメリットが活かされます。
リジナルデザインのジュエリーをお考えの方は、ぜひご相談ください。
あなたの大切な思い出を形にし、一生の宝物にいたします。
ロストワックスの過去の作製日記記事はこちら
今日の作業:デザインの行き詰まりとリセットの大切さ
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畠山浩平 プロフィール
東京都出身。東京都立工芸高校アートクラフト科で金属工芸を学ぶ。卒業後、仲間と工房を立ち上げ、作品制作やジュエリー教室を運営。2023年に広島市に移住し、彫金とジュエリーの工房「SHIYOL」を開設。現在、一般向け教室やオーダーメイドジュエリー、修理、下請け制作を行い、グループ展で作品を発表。主な技法は、真鍮・銀の金属加工と、細工蝋を用いたロストワックス技法。
公募実績
2018 日本ジュエリー展 入選
2020 日本ジュエリー展 入選
趣味:アニメ、映画、音楽、山歩き、美味しいもの


